超弦理論入門

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近年話題になっている量子コンピュータ関連で興味が出てきた、量子力学や超弦理論の本を読みあさっています。 今回は超弦理論について。初心者にもわかりやすくまとめた良書でした。

(超弦理論は、現在確認されている現象を矛盾なく説明できる唯一の理論ですが、まだ定理として認められてはいません。また、僕は自分の理解した限りの抽象的な説明しかできないのでそのあたりを踏まえて見てください。)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

光とは何か

古典物理においては波

干渉縞の実験が有名

光電効果においては粒子

事実

  • 電子が飛び足すかどうかは波長だけで決まった。ただ飛び出す量は光の強さで変わった。
  • 飛び出したエネルギーも波長だけで決まった。

これらは光が波では説明できない。 波として考えると、光の強さ(振幅)を上げていけばいずれ電子が飛び出るはずだし、エネルギーも強くなるはず。

事実をうけての考察(光量子仮説)

アインシュタインは、光は連続した波だけでなく、ある値でエネルギーの最小単位を持ちそれ以下に分割できないことから、あたかも粒のように振る舞うのではと仮定した。(波と粒の両方の性質(双対性)を持つものを「量子」という)

その場合、光子(光の粒)の一つ一つは振動数に比例したエネルギーを持ち、光の振幅は光子の量とした。

すると、光子の持つエネルギーが電子が金属から飛び出すのに必要なエネルギーを越えると、光電子効果が起きると説明できる。その飛び出した電子のエネルギーは光子のエネルギー(振動数)から生じることになる。

これまで光子が観測されてこなかったのは、エネルギーの最小単位(プランク定数)が小さすぎるためだとされた。

電磁場

磁石の周りに砂鉄をまいた図をイメージするとわかりやすい。

遠隔でも伝わる力を表すための概念を指す。定義としては、空間の各点で力の大きさや向きが決まっているもの。 電磁場においては距離の二乗に反比例する力が生じる。

マクスウェル方程式によって磁場、電場が同一のものとされたので、ここでは電磁場と総称する。

光は電磁波

マクスウェル方程式とその理論的予言、後の実験による実証によって、光は電磁波の一部だとわかった。

電磁波はエネルギーを伝えるものであって電荷や質量は持たない。その最小単位である光子も同じ。

(電子は電荷を持つ物質で質量も持つ。)

弦理論が生まれたわけ

従来は点だと考えられていた

あらゆる物質の元となるもの(素粒子)とは何かを考える際に、当初は点(部分を持たないもの)と考えられていた。「部分を持つのであればさらに分解できるだろう」というところでしょうか。

点だと無限大に発散する

  • 電磁場において、力の強さは距離の二乗に反比例する。
  • 電子は負の電荷を持つため、運動(電荷の移動)は電磁場に影響を与える。
  • 電子は電荷を持つため、電磁場から影響を受ける。
  • 電磁場発信者と受信者を区別せずに全てに影響を及ぼす。

これらを組み合わせると、電子は自身の移動によって変えられた電磁場によって、電磁場から受ける力によって自身の運動に変化が起きる(運動しにくくなる)。その際、電子が点だとすると距離の二乗が0になり、力の強さが無限大になる。

また、F=maの式から質量は動かしにくさと言われているので、こうなると電子の質量が無限大に発散することになってしまう。

点を諦めない「くりこみ」

無限大は困るので、「電子には固有の質量がある」とみなして、その固有の質量をマイナスの無限大と置くことで電磁場の無限大を相殺しようというというアイデアが考えられた。これは場当たり的だがうまく機能した。(重量を考える際には使えなかった)

光子による電磁場の変化

電子が電磁場を変化させるということはエネルギー、光子を放出してること。電子の運動が電磁場によって影響を受けることは、電子が光子を吸収してるということ。

不確定性原理

ミクロの世界では質量が

線による回避

質量が一点に集中する

ミクロの世界の構成要素

大別

素粒子の標準模型では、電子、ニュートリノ、クオークなど物質の因子となるフェルミオンと、 電磁気力、重力、グルーオン、ヒッグス粒子など力を伝えるボゾンに分けられる。

物質

原子

分子の構成要素。原子核と電子からなる。

陽子・中性子

原子の原子核の構成要素。原子よりはるかに小さい。

電子

負の電荷を持つ。原子核よりはるかに小さい。

クオーク

陽子・中性子の構成要素。

ヒッグス粒子

物質に質量を与えるとされるヒッグス場の構成要素。

雪に例えるとわかりやすいとか。

ニュートリノ

電子、クオーク以外の物質。

物質の衝突において、衝突後の物質とエネルギーを全て集めても衝突前より少なくなってしまったことから、その粒子の存在が予見されていた。

非常に小さな質量を持ち、光速に近いスピードで動くとされている。

エネルギー

電磁気力

後述のエネルギー以外は全て電磁気力。

光子のやりとりによって生じるとされる。

強い力

クオークをつなぎとめて陽子や中性子にする力

グルーオンのやりとりによって生じるとされる。

弱い力

原子核からの放射能の原因となる力。(僕はあまり理解できていない)

w粒子、z粒子のやりとりによって生じるとされる。

重力

物質同士が引き寄せ合う力。

重力子のやりとりによって生じるとされる。

超弦理論

弦理論

先述の、素粒子は点ではなく線だと考える理論

これはエネルギーを媒介するもの(ボゾン)しか考慮していなかったが、物質の因子(フェルミオン)も弦の振動状態として体系立てたのが超弦理論。

(このあたりは理解はできてないです。)

超空間

ボゾンは空間にいくらでも粒子を詰め込める。フェルミオンはそうはいかない。 ボゾンは普通の数で扱えるが、フェルミオンはふたつ入れたら0になるようなグラスマン数を導入することになる。

超対称性

自然は対称性を持つ。 超空間でも成り立つように拡張したのが超対称性

ゲージ理論

理解できなかったので省略

光子は質量がないことの説明

質量は動かしにくさであり、光速で動く光子には質量が存在しないはず。

しかし不確定性原理により、位置エネルギーと運動エネルギーが同時に決まらず、平均を求める必要が出てくる。

平均を求める際に「ゼータ関数」と「解析接続」というのを使うと、25次元のときのみ質量がゼロになることがわかった。(オイラーが考えたこの式は僕には理解できないが、自然数の和でなく特定の値におけるゼータ関数とみなすべきっぽい。)

マクロの世界のあらゆるものは幻想

ミクロな世界では原子と真空しかない。

温度

分子の振動によるエネルギーにすぎず、温度という概念はミクロにはない。

空間

空間とは、近いものと遠いものの区別がつくような集合を言う。

時間

相対性理論において絶対的な時間はない。

元素

近年では原子の衝突によって金を錬成することも可能になっている。(もちろんコストがハンパないのでやらないが。)

電磁波の一部である光の波長が人間の目の可視域にあるときに認識できるもの。 「赤」は「650nmあたりの波長の光線」のシノニムとして「赤」という単語を当てているに過ぎない。

メモ

縦波と横波

縦波は進行方向の波なので区別しにくい。 光には横波しかなく、音には縦波しかない。地震波は両方ある。

超弦理論では開いた弦は電磁気力を伝えるとされていて、横波しか運ばないので理にかなっている。

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